6月13日 あいつがやってきた
6/13 PM6:00
雨漏りの修理を頼みました。
ヤマさん、まだ修理中です。
しょう
カランコロン・・・
「きょうさん、屋根の修理、終わったよ。」
「ありがとう。暑かったでしょ。」
「貴重な梅雨の晴れ間だからね。
絶対に今日中にやろうと思ってたんだけどさ、
今朝、あいつがやって来ちゃってさ。」
「来たんですか・・・やはり・・・」
「うん、来たんだよ。
結局、仕事始められたのが3時過ぎになっちゃって。」
「ごくろうさまです。」
きょうさんは、レモンスカッシュをヤマさんに渡しました。
「おおお、これはうまい。
朝のうちにこれを飲んでおけば
あいつが来ても追い払うことができたかもしれないな。」
「噂によるとですね、あいつは黄色いものが大嫌いらしいです。」
これはレモンスカッシュで、本当は白く濁ったようになるのですが、
ちょっと黄色いかき氷シロップを入れてみたんですよ。」
「うーん、きょうさん、やるな。」
おいしそうに飲みながら、ヤマさんはちょっと考えて言いました。
「道具片づけたら、晩ごはん食べに来るからさ、
なんか黄色いおいしいもの作ってよ。」
「了解。用意しとくよ。」
黄色いものねえ、何にしようかな。
地中海でも旅行してもらおうかな。
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ガスパチョ(黄色いトマト)
卵とズッキーニのアヒージョ
ムサカ(ギリシャ風グラタン)
魚介のパエリア
黄パプリカのサラダ
レモンリキュールのソーダ割り
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PM7:30
カランコロン・・・
「おかえり、ヤマさん。
ヤマさんと同じようにあいつの訪問を受けた人たちが
もう、集まってますよ。」
クスクスと笑いながらきょうさんが言いました。
四人がけのテーブルには
テーラーの桜井さんと、雑貨店のきよしさんが座っています。
村のおやじ三人組です。
「やあ、ヤマさん、おつかれ。」
「桜井さんときよしさんのところにも、やっぱり来たんですね。」
「きたきた。まったく困ったもんだよ。」
「きょうさんに聞いたんだけどね。
あいつは黄色いものが嫌いなんだって。
だから、今日は黄色いスペシャルメニューを頼んどいたんだ。」
「そりゃいい!このお酒も確かに黄色い!それにうまい。
きょうさん、これ何て言うの?」
「レモンリキュールのソーダ割りです。
『太陽の雨音』っていう名前のリキュール。」
「いいネーミング!」
「ヤマさん、これで乾杯して
あいつの撃退法を話し合おうじゃないか。」
すっかり盛り上がった三人は、
楽しそうによく飲んで、よく食べて、よく笑っています。
「どうですか?良い撃退法が見つかりましたか?」」
きょうさんが尋ねました。
「それがね、これといっていい案が出なくてね・・・」
きょうさんは、たまらなくなって笑い出してしまいました。
「昨日、三人でまた釣りでも行ったんでしょ。
日曜日に、楽しく遊び過ぎたから、あいつが来たんですよ、きっと。
『月曜日の憂鬱』という名前のあいつが。」
三人は顔を見合わせて笑っています。
「へへへ・・・ばれてたか。」