7月4日 かえるの合唱

7/4 PM6:50

 

グー・・・グー・・・

最初は1匹だけの小さな声から始まります。

日が沈む、マジックアワーになると始まります。

 

「お、始まった。」

きょうさんは耳をすましてつぶやきました。

フォレストダイニングの近くにあるひょうたん池から

かえるの声が聞こえてきます。

 

カランコロン・・・

「今年も始まったね。」

村長のたくろうさんが、枝豆を持って入ってきました。

「ひょうたん池のかえるたちは、ずっと水があるのに

田んぼに水が入るのを待って鳴き始めるんですよ。

不思議ですよね。」

「ははは、かえるの連絡網でもあるのかな。」

 

「この、日が沈んで少しずつ暗くなっていくのを見ながら

呑むのが好きでね。

枝豆、持ってきたから使ってよ。」

「ありがとうございます。

じゃあ、適当につまみを出しますね。

今日のお酒は何にしますか?」

「今日は焼酎がいいなあ。

ビールだとすぐにおなかがいっぱいになっちゃうからさ。」

「おもしろいものがありますよ。

鹿児島の麦焼酎で『蛙の寝言』っていう名前なんです。

かえるは天災を予知できる福の神らしいです。」

「かえるの声をききながら飲むのにぴったりだね。

ロックでお願いするよ。

 

カランコロン・・・

「今日、海に潜って取ってきたんだ。焼いてよ。」

魚屋のトキオくんが、さざえを持って入ってきました。

「あ、村長さん、こんばんは。」

「こんばんは。見事なさざえだね。」

「へへ、今年一の大物。一緒に食べてって。」

 

カランコロン・・・

「患者さんにもらったんだけど、たくさんあってね。

何か作ってもらおうと思って・・・」

診療所のジン先生が、豆腐を持って入ってきました。

「先生、こんばんは。おつかれさまです。」

「みなさん、こんばんは。

今日は村の人たちが元気だったらしくて、ひまだったんですよ。

とても気持ちいいし、かえるの声に誘われて来ちゃいました。」

「きょうさんが出してくれた、この焼酎、おいしいですよ。」

「どれどれ、なんと。『蛙の寝言』とは!

今日、飲まなくて、いつ飲むっているお酒ですね。」

「まったくだ。いい日に来た。」

 

カランコロン・・・

「豚の味噌漬け作ったんだけど、新しい味噌床だから、味見してよ。」

食料品店のあきこさんが入ってきました。

「あら、みなさんおそろいで。」

「あきこさんも一緒にいかがですか?」

「おいしそうなお酒ね。」

 

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  枝豆の塩ゆで

  なすの丸煮

  さざえの壺焼き

  揚げ出し豆腐

  豚ロースの味噌漬け焼き

   キャベツの千切りマリネ添え

  茶飯

  奈良漬け

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フォレストダイニングはにぎやかになりました。

みんな楽しそうに話しています。

外のかえるたちも、大合唱になってきました。

 

夏の始まりです。