6月17日 石の山
6/17 PM2:00
カランコロン・・・
「こんにちは。何か軽く食べられるもの、あるかな。」
入ってきたのは、診療所のジン先生です。
「いらっしゃい。
今、ミートソースを作ったところなので、パスタでいいですか?」
「いいね。それでお願いします。」
ジン先生は、身体が大きくて、とても頼りになるお医者様です。
具合が悪い人がいれば
いつでもどこでも来てくれます。
「今日も、往診ですか?」
「うん。アンタイル川のところのつねさんがね、
足が痛くて動けなくなっちゃったんだ。」
「心配ですね。」
この村の七不思議のひとつに
『具合が悪くなると、突然、村から姿を消す』
ということがあります。
つねさんは、いつも元気に農場で働いているけれど
もうお年寄りだし、
なんだか七不思議のように、急にいなくなってしまうような気がして
しょうさんは胸がどきどきしてきました。
「大丈夫だよ。
今日もにわとりが卵をいっぱい産んでるかもしれないから、
早く良くなって、農場の手伝いに行かなくちゃって、
働く気満々だったよ。」
「つねさんらしい。
あ、今、用意しますから、
これでもつまんで待っていてくださいね。」
しょうさんは、ドライフルーツを出して
ご飯の用意を始めました。
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いちじくのドライフルーツ
かぼちゃの種チップス
ミートソースパスタ(デミグラス仕立て)
ジュリエンヌスープ
ルッコラと胡桃のサラダ
アセロラゼリー
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「この、赤いゼリーおいしいね。」
ジン先生、ちょっと疲れているみたいだから・・・」
「ありがとう。本当にとてもおいしい。
医者の不養生かな。」
「あら、つねさん。」
しょうさんは、杖をついて外を歩いているつねさんを見つけました。
つねさんは、フォレストダイニングを通り過ぎて
石の山の方へ曲がっていきました。
「よかった。
歩けるようになったのね。
さすがは、ジン先生です。
でも、どこへ行くのかしら。
お地蔵様にお供えものでも届けるのかな・・・
帰りに寄ってくれるといいな。」
「そうか。
つねさん、歩いて行けたんだ。」
ジン先生は、外を見ずに
ぽつんとつぶやきました。