1月5日 初春

1/5 AM8:00

今日もいい天気です。

しょうさんは窓辺に座ってのんびりとミルクティを飲んでいます。

 

昨日からフォレストダイニングは開けていますが

しばらくお休みしていたので、なんとなく調子がでなくて

気がつくとぼんやりしてしまいます。

 

今朝、農場のたくろうさんが野菜を届けてくれました。

「さてと、がんばって作ってみますか。」

やり始めると、だんだんと調子が出てくるのはわかっているのですが、

最初の一歩がなかなか難しいのです。

 

「まずは、スープを・・・」

野菜の山から、スープになりそうな材料を選び始めました。

 

フォレストには、だるまストーブがあります。

スープの鍋をストーブにかけて・・・

コトコトプクプク・・・

鍋が少し賑やかになるといい匂いがたちこめてきました。

 

しょうさんは窓を大きく開けました。

冷たい空気が入ってきます。

お天気はいいのですが、空気は冷たいです。

でも、陽だまりで外の空気を思い切り吸い込むと

少しだけ春の気配を感じられる気がしました。

「これが『初春』なのかなあ。」

 

窓を少しだけ開けたままにして

しょうさんはパンを焼き始めました。

パンを発酵させている間にサラダ作りです。

チコリがたくさんあったので、菜の花とあわせてみました。

「このちょっと苦いのが春っぽいのよね。

なんだか身体が目覚めていく感じ。」

 

AM11:00

シナモンのいい匂いがしています。

カランコロン・・・

「いい匂い。シナモンロールでしょ。

私のお店まで匂いが届いて、たまらなくなって来ちゃった。」

茶葉の店『クレセントムーン』のあやさんが入ってきました。

「いい鼻してるね。もうすぐ焼けるから一緒にお昼しよ。」

 

カランコロン・・・

「僕の店、きっと風下なんだ。

シナモンのいい香りが届いたよ。」

入ってきたのは喫茶店『ジャニス』のマスターなべさんです。

「いらっしゃい。もうすぐですよ。

どうぞ座って待っててくださいね。」

 

お待たせしました。

本日のランチプレートです。

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シナモンロール

冬の野菜たちのスープ

 ブロッコリー・カリフラワー・長ネギ・れんこん・大根・塩豚

チコリと菜の花のサラダ(アンチョビを効かせたドレッシング)

キウイヨーグルト

(あやさん持参の)カモミールティ

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3人で大きいテーブルを囲んでランチです。

「このヨーグルト、きれいね。」

「キウイをすってはちみつと混ぜたものをヨーグルトにのせてみたの。

料理ってさ、不思議だけど、ちょっとだけ工夫すると、

おいしく感じられるような気がするの。」

「ほんと、そうね。おいしいものを食べるって

身体の栄養だけじゃなくて、心の栄養でもあるんだと思う。」

「誰かと話しながら食事するのも、おいしさ倍増。

たぶん、身体と心の栄養も倍増しているんだね。」

「このお店があって、本当に良かった。

今年一年、またよろしくね。」

「こちらこそ、よろしく。

みんなが来てくれるととっても楽しい。」

 

「ちょっとおいしいコーヒー豆を仕入れたんだ。

ごちそうするから、ここで淹れていい?」

なべさんは手動のミルを豆を取り出した言いました。

「わあ、うれしい。なんていう豆?」

「僕の大好きなグアテマラなんだけどね。ゲイシャ種の豆なんだ。

最初にまろやかさ、次にジャスミンのようなアロマが走り出して

最後は甘い柑橘のような味とコクが・・・」

「ごくり」

しょうさんとあやさんは、つばを飲み込みました。

「楽しみすぎる」

「豆をひくから、ちょっと時間かかるけど。」

「いいっ!待ってる。」

「コーヒーって淹れてくれるのを待ってる時間も楽しみだよね。」

「そうそう、立ち上る湯気を見てぼーっとして、コーヒーの香りを楽しんで・・・

究極の一時って感じ。」

 

なべさんが淹れてくれたコーヒーは、本当においしくて

いつもは控えめなしょうさんがおかわりをおねだりする程でした。

「私のとっておきのおやつも一緒にどうぞ。

ローストしたナッツたちを蜜でからめたものなんだけど

たぶん、最高にコーヒーに合うと思うんだ。」

「これはいい!」

あやさんとなべさんもおかわりをしました。

 

こうして杉の木村のいつもの一年が始まりました。