7月2日 半夏生

年に2回、村中のお店が閉まる日があります。

田植えと稲刈りの日です。

たくろうさんの田んぼで出来るお米は

村中の人たちの大切な食料です。

村中の人が集まって、田植えと稲刈りをするのです。

 

7/2 PM5:00

今日は、半夏生

今日までに田植えを終わらせないといけないので

村中の人が朝からたくろうさんの田んぼに集まっています。

「みんな、ありがとう。

なんとか無事に田植えも終わったよ。」

「よかった。よかった。」

あやさんの作ってくれた冷たいドクダミ茶をみんなで飲みながら

一息ついています。

 

「きょうさん、しょうさん。

この後、みんなでお店に集まっても大丈夫かな。」

たくろうさんが尋ねてきました。

「もちろん。そのつもりですよ。」

「二人で昨日から今日の準備はしてあるんです。」

「ありがたい。

じゃあ、皆さん。今日の夜はフォレストダイニングで

おつかれさま会をします。

どうぞ集まってください。」

 

「きょうさん、今日の料理は大皿盛りにして

みんなに好きに取って食べてもらうようにしようか。」

「うん、そうだね。

じゃあ、たこ飯はおにぎりにしておこう。」

「じゃあ、また後で。」

 

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  たこの柔らか煮

  かぼちゃのいとこ煮

  さばの竜田揚げ おろしポン酢

  冬瓜とホタテの冷たいスープ

  たこ飯

  お漬物盛り合わせ

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日が沈む頃になると、みんなが集まってきました。

トキオくんが「塩から」

あきこさんが「タンスモーク」

さだはるさんが「すいかゼリー」

差し入れを持ってきてくれて、とてもにぎやかなテーブルになりました。

 

「今日は暑かったね。」

「いい汗かきました。」

「今日は野菜を収穫しちゃいけないらしいんだ。」

「へー、なんで?」

「天から毒が降ってくるからなんだって。」

「それって、田んぼの仕事で疲れてるから

『優しい言い伝え』なんだよ。」

「休めーってこと?」

「うん。」

 

あちこちで村の人たちが楽しそうに話をしています。

 

「田んぼの神様が、優しい姿のままだと

休めって、いくら言ってもきいてくれないから

妖怪の姿になって出てくるらしいよ。」

「あ、それ知ってる。

妖怪ハンゲのことでしょ?」

「どんな妖怪なんだろうね。」

 

「あのさ、カウンターの端っこで

帽子かぶって、ボンボンの首飾りつけて座ってた人

誰だっけ。」

「誰かの知り合いだと思ってたけど。

一人でおいしそうに飲んで食べてたよね。」

「見たことない人だったよ。」

「でも優しそうだった。みんなの話をにこにこしてきいて。」

「もしかして・・・」

「もしかして・・・」

「まさかねー。」

 

こうして今日も賑やかに夜が更けていきました。