10月13日 地図

10/13 PM7:00

リーリー・・・リーリー

虫の声が聞こえてきます。

季節は移り変わり、秋が深まってきました。

きょうさんは、窓を開けて虫の声に耳をかたむけました。

「あ、金木犀の香りだ」

どこにあるかわからないけれど、金木犀の匂いが漂っています。

 

カランコロン・・・

「こんばんは。やっと仕事が終わったよ。」

「いらっしゃい、そんぽさん。お疲れ様でした。」

「これから、もう一仕事あるんだ。

その前に腹ごしらえ。何か美味しいものある?」

「今日は、舞茸の炊き込みご飯。

土鍋で炊くからちょっと時間かかるけど大丈夫?」

「うわ、おいしそう。待つ待つ。

たいした仕事じゃないから、ゆっくりでいいよ。」

「じゃあ、準備するね。」

 

そんぽさんはテーブル席に紙を広げて、何やら考え込んでいます。

「ねえ、きょうさん。この村のお店の名前ってわかる?」

「ここは、フォレストダイニング。」

「ははは。それは僕もわかる。

実はね、村長のたくろうさんに、この村の地図を作ってくれないかって

頼まれちゃったんだ。配達してるから、わかるでしょって。」

「それはいいね。地図があればいろんな人が助かると思うよ。」

「みんな、木の板にペンキで描いてお店の前に置いてあるらしいんだ。

でも、お店の名前で配達したことなくてさ。」

「そういえば・・・僕もわからないかも。

いつも『トキオくんの魚屋さん』とか言って、お店の名前って言わないよね。」

「そうそう。

だいたい地図はだいたい出来てるんだけど

あとお店の名前を入れるだけなんだ。」

 

カランコロン・・・

「いい匂い。炊き込みご飯?」

神社の空光くんが入ってきました。

「あたり。舞茸の炊き込みご飯だよ。食べてく?」

「お願いする。

何してたの?楽しそう。」

「村の地図を作っているんだ。でも、お店の名前がわからなくてさ。」

「なに?もしかして神社の名前もわからないとか?」

「え、名前あるの?」

「あるよ。立派な名前。『九龍神社』っていうんだよ。」

「へええ、知らなかった。」

「俺、他のも全部わかるよ。」

「まじでか。教えてよ。」

 

そんぽさんと空光くんは、紙に書き始めました。

 

「食事の用意が出来たよ。何か飲む?」

「出来た、出来た。

完成の祝杯だ。美味しい焼酎が飲みたい。

空光くん。ありがとう助かったよ。1杯おごるよ。」

「やり。ごちになります。」

 

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とりあえず盆

 ・ 銀杏の塩炒り

 ・ 牛肉のしぐれ煮

 ・ あおりいかの肝焼き

ふくさ卵

舞茸の炊き込みご飯(土鍋)

かぶの浅漬け

里芋と長ネギのみそ汁

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「お疲れ様。

焼酎はこれ。

薩摩の芋焼酎赤兎馬 玉茜』

フルーティな金木犀のような香りの焼酎です。」

 

「いいね。3人で乾杯しよう。」

「秋爛漫だね。」

 

「しかし、そんぽさんは画才なさすぎ。」

「あれで精一杯。だれか絵が上手な人いないかな。」

「とりあえず、場所がわかればいいんだから。いいよ、いいよ。」

「そうだよね。地図はコピーしてみんなのとこにも配達しとくよ。」

 

楽しそうな三人の酔っ払いが出来上がり、秋の夜は更けていきます。