11月8日 皆既月食

11/8 PM3:00

 

今日は、午後4時に村のすべてのお店は終了です。

日が沈むと、みんな自分の家から出てきません。

その理由は・・・

今日は月が消える日だからです。

 

「さてと・・・出来上がったので

みんなの家に届けに行きますか・・・」

「手分けして配ろうか。」

今日はお昼頃から、きょうさんも来て

二人でお弁当作りをしていました。

村の人たちの晩ごはんです。

「じゃあ、山の方は僕が行くから

しょうさんは、海側の方。で、いい?」

「了解。配り終わったら、そのまま家に戻るね。」

「そうだね。僕もそうする。今日は早く帰らなくちゃね。」

 

月の消える夜は、外に出てはいけないというこの村の決まりがあるのです。

村の七不思議の一つに

『月の消える夜は、魔法が解ける。』というものがあります。

でも、この村の人は、どんな魔法なのか、それを話し合うことはありません。

「それじゃ、きょうさん。また明日。良い夜を。」

「しょうさんもね。」

 

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スコーン

 クロテットクリーム

 ブルーベリージャム

ブロッコリーとカリフラワーのフリット

 (マスタードソース添え)

柿の生ハム巻き

カシューナッツの塩バター炒め

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お弁当を配り終え、家に戻ったしょうさんは

チャイの用意をしました。

今日のスパイスは基本のシナモン、グローブ、カルダモンの他に

生の生姜を入れてみました。

紅茶はあやさんのお店のアッサム。

牛乳ではなく、アーモンドミルクを使います。

「この香り。ほっとするなあ。

6時過ぎには、月が消え始めるから、一緒に早めの晩ごはんにしよう。」

 

PM6:00

外灯も消え、村はとても静かです。

月が欠け始め、赤黒い月の形が見えてきます。

「そろそろかな・・・。」

そうつぶやいた時、

しょうさんの家が少しずつ消えていき、一本の木に変わっていきました。

木の幹には、一羽のオレンジ色の鳥が留まっています。

「久しぶり。なんだか変な感じ・・・。

こうゆう時は、寝るに限る。」

羽にくちばしを埋めて、目を閉じると

ホー、ホー。

遠くでみみずくの声が聞こえてきます。

村は暗く、静かです。